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今日の一冊2026.09.05 土

「汝とその仲間は 我が民 我が同胞だ」。この王が、のちにエルフの国を焼き払う。

『オルクセン王国史〜野蛮なオークの国は、如何にして平和なエルフの国を焼き払うに至ったか〜』

樽見京一郎/野上武志/THORES柴本/7DMMブックスで第1巻まるごと無料
巻数
7
ページ/読了
178/約18分
評価
★4.52
レビュー
27
定価
¥99
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この一冊は、どんな漫画か

バトルファンタジー絵がすごい

雪の国境河を渡り切って、ディネルースは力尽きる。その体をオークの王グスタフが大きな腕で抱き上げ、「汝とその仲間は 我が民 我が同胞だ」と告げる。

この台詞は、助けてやる、でも、保護する、でもない。お前たちはもう私の民だ、という宣言として置かれている。民族浄化を逃れて何もかも失った側に、失った誇りのほうは一度も触らずに、居場所だけを渡す。ディネルースがこのあと軍人として立ち上がっていけるのは、ここで折られなかったからだと分かる。倒れた者を抱き上げる大きな腕と、その腕の持ち主がやがて隣国を焼くという題名が、同じ1巻の中に並んでいる。この置き方が良かった。

オルクセンの強さは、軍の場面だけでできていない。逃れてきた者への救護があり、食事があり、そこから農業、鉄道、軍制へと話が伸びていく。国が動く手順が順番に見えるので、戦争ができる国だと説明される前に、人が暮らしている国だと伝わってくる。強さの根拠が生活の側にある物語は面白い。

作画は、整った美しさではなく味のあるほうの線で、重い時代の空気とよく合っている。絵柄が合えば、そこから一気に入っていける。誇りを背負って動く人物が何人も出てきて、そのそれぞれに引き受けているものがあるのも良い。第1話はやや助走で、国と軍の話が本格的に動き出すまで少し待つことになるが、待った先が広い。無料分は、新設部隊の実力を測る大規模演習が一区切りつき、対エルフィンド戦の輪郭がはっきりしたところで終わる。ここまで来ると、この王とこの国がどこで線を越えるのかを見届けたくなる。題名が最初から答えを言っているのに、途中がまったく想像できない。

こよい
こよいの一言(眼鏡、外しました) めったに褒めない編集長が、認めた一冊。 線が整っているわけじゃない。でも、あの重さはきれいなだけの絵では出ない。この国をこの絵で描いたのは正解だと思う。
こよい
選・文今宵の一冊 編集長 こよい

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