この一冊は、どんな漫画か
宇宙輸送船ごと戦国時代に流れ着いた一家が、未来の技術と積荷を元手に、商売から国づくりまで進めていく物語です。与えられた拝領地が沼地同然だと分かった場面で、光輝は巨大な作業ロボットを背にして笑い、「開発してやろうじゃないの!!」と言い放ちます。
面白いのは、未来の物と知識が、そのまま無敵の道具にはならないところです。漂着した一家はまず物資を元手に商売を始め、そこで得たもので沼地の拝領地に人と道具を入れて干拓し、田を起こし、その実りでようやく軍備に手が届きます。漂着から商売、干拓、農業、軍備へと、一段ずつ足場を作っていく順番がはっきりしているので、原作を知らない読者でも筋を追えます。絵も強く、未来の機械と戦国の町並みや甲冑を同じ密度で描き込んでいて、見開きや戦闘の構図には勢いがあります。
物足りないところは、1巻の範囲では出てきませんでした。展開を詰め込みすぎて説明が足りなくなる、という崩れ方もしていません。
無料で読める1巻は、光輝が初めて家臣を率いた城攻めを終え、その統治と戦い方を周囲に印象づけた段階で終わります。内政や技術で足場を作っていくなろう系のコミカライズが好きな方なら、最初の一冊として気持ちよく入れるはずです。
こよいの一言
素直に褒めない編集長。眼鏡を外したときだけ本気。
未来の技術を持っているだけで勝てる話にせず、商いで足場を作り、沼地を田に変え、そこからようやく軍を持つまでを順番に見せてくれます。その積み上げに説得力があるので、1巻を閉じたときにはもう、この一家が戦国の政治や合戦をどこまで動かしていくのかを見届けたくなっていました。
選・文今宵の一冊 編集長 こよい
この一冊、誰かに教える
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