この一冊は、どんな漫画か
地面に手をつき、「俺は君が言うほど価値がない」と俯くしのぎ。イェルクナハトがその自己否定を切り捨て、顔を寄せる場面で手が止まった。
社会の生きづらさに嫌気が差し、生きる希望まで失っている18歳の戌亦しのぎ。幽霊のようなものが見え、斬ることもできるけれど、本人は生きる役に立たない能力だと思っている。そこへ現れたのが、人間を駆除する神の代理人六体のうちの一人、イェルクナハト=フィンステルニス。神の代理人と敵対し、人類を救おうとする彼女から突きつけられたのは、死ぬか、結婚してともに戦うかという選択だった。
しのぎは「俺みたいな何も信じられないクズは、せめて人に迷惑かけずに死ぬべきなんだ」「俺は君が言うほど価値がない」と、自分から自分の価値を下げる。そこでイェルクナハトが返すのが、「勝手に世界に安い値段をつけるな」「お前に安い値段をつけるな」。人はそんな権利を持っていないと言い切る。これは、しのぎ一人に向けた言葉ではなく、同じように自分を低く見積もっている人へ作者が届けたかった言葉にも感じた。
重い設定と激しいバトルの中でも、しのぎが神の代理人を前に三大欲求を忘れないところがおかしい。そんな彼の言葉に、ときおりイェルクナハトが照れた顔を見せる。この二人の温度差が、戦いの合間を騒がしくしている。
1巻は、イェルクナハトを殺しに来たノアも加わり、三人で人類救済へ動き出すところまで。何もなかったしのぎに目標ができ、生きる喜びが芽生え始める。さらに激しい戦いと騒がしい日常、その両方を予感させる終わり方だった。
この一冊、誰かに教える
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