この一冊は、どんな漫画か
合同写真集は完売した。それなのに印刷費と参加費と衣装代を引くと、残るのは2870円。完売の報告と同じページでその数字を突きつけられて、すみれさんが怒り出す。
あの計算が笑い話で終わらないのは、数字の出どころを全部見せているから。印刷費がいくらかかるか、イベントにどんな規則があるか、SNSをどう回すか、事務所にどうやって企画を通すか。同人グラビアを一冊出すまでの手続きが、省略なしで順番に出てくる。こういう積み上げを実際にやっている人が、すみれさんみたいな人が、どこかにいるんだろうと思わせる書き方になっている。私は知らない世界の内側が見える話に弱いので、ここだけで読んだ甲斐があった。
もうひとつは雄星のほう。31歳の元アイドルを、レンズの前に置く被写体としてではなく、売り出す価値のある人として扱っている。売れなかった過去を抱えた大人を、本気で「いける」と見ている高校生がいる。この構図があるから、こちらも再起の行方を追う側に回らされる。怒っている本人の隣で、電卓を叩いているのが年下のイトコだというのがいい。
1巻は、合同写真集の制作陣が顔を合わせ、撮影方針が固まってチームが動き出すところで終わる。本編のあとにパチンコのおまけ漫画と「グラビアあるある」まで入っていて、1冊の中身は多い。グラビア業界の内側を覗きたい人と、くすぶったまま歳を重ねた大人がもう一度立ち上がるところを見たい人に向いている。
この一冊、誰かに教える
作品名とひとこと、リンクが入った状態で開きます。そのまま投稿しても、書き足しても。


