この一冊は、どんな漫画か
社会に出てから分かる、必修授業以外の授業の大切さに唸らされます。高校の倫理教師・高柳は、最初の授業で、孤独や人間関係に悩むときに倫理が関わってくると語ります。学校で学ぶ意味が、卒業後の自分にまでつながってくる作品です。
『ここは今から倫理です。』は、高校の倫理教師・高柳が、授業や生徒との対話を通して、彼らの悩みに向き合う話です。高柳に惹かれて授業を選んだ女子生徒・逢沢いち子をはじめ、それぞれ違う事情や考えを持つ生徒たちが教室に集まります。倫理と聞くと身構えますが、扱われるのは人との付き合い方や、自分がどう生きたいかという身近な問い。
社会に出てから分かる、必修授業以外の授業の重要性。まさにそれを感じる、唸らされる作品でした。高柳は最初の授業で、日常では使わなくても、孤独や幸福について考えるときに倫理が関わってくると説明します。成績や仕事に直結するかだけでは測れない、学ぶ意味が見えてくるんですね。知識が、自分の気持ちを捉えたり、他人を理解したりする助けになる。その結びつきが、生徒それぞれの悩みを通して実感できます。物知りな女子生徒・酒井美由紀に対しても、高柳は自分の見えている範囲だけで他人を判断しないよう促します。知っていることが多くても、目の前の人を分かっているとは限らない。生徒の話を読んでいるうちに、自分の思い込みまで問い直されるのが面白いです。哲学者の言葉にも触れられて、ちょっと物知りになったような気持ちにもなれる。
注意点としては、文字が多めという点でしょうか。さらっと読み流すより、言葉を追って考えながら読む作品です。ただ、場面の区切りや会話の順序が見やすく、説明の多さがそのまま読みにくさにはなっていません。難しい話を聞いた生徒の戸惑いも挟まるので、すべてを一度で理解しなくてもついていける。高柳自身も迷う人なので、これから違う悩みにどんな言葉を選ぶのかも気になります。人間関係や生き方について、物語を楽しみながらじっくり考えたい人に向く漫画です。
この一冊、誰かに教える
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