この一冊は、どんな漫画か
真夏に冬服。高木さんがそこまでした気持ちより先に、鈴木くんの口から出たのは「暑くないの?」。返ってきた「暑いわ」で、私は笑った。
鈴木くんは下心を隠せない。隠せないのに、気持ちの伝え方だけはどストレートで、しかも真面目。自分のズレに気づいていないので、放っておけば普通に引かれる部類だと思う。それが嫌な感じにならないのは、高木さんが毎回きっちりツッコむからで、この二人はどちらか片方だけだと成立しない。眼鏡を外すと顔がいい、というギャップも入っていて、普段の残念さが本人の素だと分かる。
読み始めたときは、同じ日を繰り返す設定を使ったシュールなラブコメだと思って開いていた。それが読み進めるうちに違って見えてくる。8月31日を覚えているのは二人だけで、周りの人間は毎朝リセットされる。同じ会話をもう一度しても、相手は初めてのつもりで返してくる。その中で、二人の関係だけが少しずつ進んでいく。笑って読んでいた場面の下に、ずっとこの寂しさが敷いてあったと後から気づいた。
ただ、なぜループしているのか、いつ終わるのかは1巻では出てこない。仕掛けの説明をしないまま二人の日常だけで持たせる作りなので、答えを早く知りたい人には物足りないと思う。私はこのままでいいと思った。終わる日が来たとき、積み重ねた8月31日のぶんだけ近づいた二人がどうなるのか。そこを見たくて、続きを開くことになる。
この一冊、誰かに教える
作品名とひとこと、リンクが入った状態で開きます。そのまま投稿しても、書き足しても。


