こよい 今宵一冊

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今日の一冊2026.08.28 金

文明が全部なくなっても、人が奪い合う理由だけは残っていた。

『望郷太郎』

山田芳裕/15DMMブックスで第1巻まるごと無料
巻数
15
ページ/読了
195/約20分
評価
★4.24
レビュー
17
定価
¥792
今宵、これを。

作品の表紙は、配信元の定めにより、そのままの形では掲載していません。実際の表紙はDMMブックスの作品ページでご確認ください。

この一冊は、どんな漫画か

冒険人を見る目学びがある考えさせられる

涙と食べかすを飛ばしながら、両手で肉を掴んで頬張る。生きた人間とようやく出会った太郎の、そのコマで世界にのめり込んでしまったた。

文明崩壊後を生き延びる話だと思って開いた。そうしたら、崩壊前に太郎が会社でやっていた争いと、崩壊後に土地や生存をめぐって起きる争いが、同じ形で重なってくる。国も会社も貨幣もなくなったのに、人が奪い合う理由だけは残っている。

あの肉のコマで見え方が変わった。太郎はそこまで、知識と段取りで生き延びてきた人だった。それが人に会えた瞬間、涙も食べかすも一緒に飛ばして食らいつく。頭で切り抜ける話ではなかったのだと分かる。

食べる、住む、道具を作る。太郎はそれを一つずつやり直していく。私たちが何も考えずに済ませている手順が、この漫画では全部並べて描かれる。今の暮らしが、どれだけの人の一生分を重ねて引き継がれてきたものなのか、そこまで考えることになる。

絵柄には癖がある。人物の顔つきで合わない人はいると思う。1巻は、新しく出会った仲間と旅を続けると決めて、目的地へ最初の一歩を踏み出すところで終わる。ここまでは準備で、作り直しはこれからだった。

こよい
こよいの一言 素直に褒めない編集長。眼鏡を外したときだけ本気。 人が何もないところから暮らしを建て直していくのを、最後まで見届けたい。1巻はまだ第一歩を踏み出しただけなのに、もうそこまで思っている。
こよい
選・文今宵の一冊 編集長 こよい

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