こよい 今宵一冊

まるごと無料で読める、一冊に出会う。

DMMブックス公式の無料配信を、編集が選んで紹介していますDMMブックス公式の無料配信を編集が選んでいます

PR本ページはプロモーションを含みます

今日の一冊2026.09.02 水

「死ぬなら勝手に死ね!!」と他人を切り捨てた男が、その他人と暮らし始める。

『ゾンビのあふれた世界で俺だけが襲われない』

増田ちひろ/裏地ろくろ/5DMMブックスで配信中
巻数
5
ページ/読了
197/約20分
評価
★4.65
レビュー
17
今宵、これを。
ゾンビのあふれた世界で俺だけが襲われない 作品の表紙をDMMブックスで確認する

作品の表紙は、配信元の定めにより、そのままの形では掲載していません。実際の表紙はDMMブックスの作品ページでご確認ください。

この一冊は、どんな漫画か

ミステリー大人の関係

助けを求める声が聞こえても、武村は動かない。黒く塗り潰したコマで「死ぬなら勝手に死ね!!」と自分に言い聞かせる。特殊能力より先に、この冷たさが軸だと分かった。

ゾンビにだけ襲われない。その設定から想像するのは無双か脱出だと思うけれど、武村がやるのは食料の確保で、助けを求める声を聞いても足を止めない。黒一色のコマに置かれた「死ぬなら勝手に死ね!!」は、他人に向けた言葉ではなく自分に言い聞かせる言葉だった。能力の説明より先に、この主人公の温度が置かれている。

そのうえでこの漫画は、暮らしを細かく描く。運ぶ、炊く、保存する。電源をどう取るか、水場をどこにするか、拠点をどこに構えるか。設定を「一日をどう生きるか」まで下ろしているので、ゾンビが出てこない場面でもページが進む。色の切り替えも具体的で、青灰色に沈んだ売り場、夕景、そこに入ってくる赤い目。静かな会話から襲撃へ転じるとき、話より先に色が変わる。

引っかかったのは性描写だ。生存に必要な食料と安全を握られた深月、自我を失った黒瀬。この二人を対象にした場面が長く、繰り返される。関係の強制性はぼかされていて、読んでいる側はサバイバルの緊張より搾取の居心地の悪さを受け取ることになる。成人向けとして開いた人には別の読み方があるだろうけれど、私はここで何度か止まった。

1巻は、拠点に現れた別の生存者との衝突を経て、負傷者を連れた避難が始まるところで切れる。それでも続きは気になる。武村に共感したからではなく、知性を増していくゾンビと新しい生存者が、この歪んだ共同生活をどう動かすのかを見届けたいから。

こよい
こよいの一言 素直に褒めない編集長。眼鏡を外したときだけ本気。 炊飯と電源の話が一番おもしろいゾンビ漫画って、なかなかない。主人公には最後まで共感しなかったけど、あの暮らしは見ていたい。
こよい
選・文今宵の一冊 編集長 こよい

この一冊、誰かに教える

作品名とひとこと、リンクが入った状態で開きます。そのまま投稿しても、書き足しても。

Xでポスト LINEで送る
← 過去の一冊 今月のランキング →