この一冊は、どんな漫画か
カグラが持っているのは、悪人の夢に入り込んで、その人にとっての悪夢そのものになり、罪を吐かせる力です。ただ、読み終わって思い返すのは派手な戦いのほうではなく、河川敷の場面でした。自分のしたことで一人の男が死刑台へ送られると気づいたカグラが、膝をついて、青ざめた顔のまま吐いてしまいます。
この力には、うまくできているなと思う仕掛けがあります。夢の中で受けた攻撃が、そのまま現実の体に同じ傷を作ってしまうのです。ですから夢の中でどれだけ追い詰めていても、現実のカグラは血を流しながら立っていることになります。読んでいるあいだ、勝っているのか負けているのか分からなくなる瞬間が何度もあって、そこが面白いところでした。夢を埋める炎と黒い影の描き込みも重たく、悪人の内側へ踏み込むほど画面が暗くなっていくシーンは『ベルセルク』を思い出しました。
引っかかったのはカグラ自身のことで、なぜそこまでして悪人を裁くのか、1巻では何も説明されません。正義とか倫理とか、そういう言葉で動いている人ではなく、自分でも持て余している感情に押されているように見えます。先が気になる作りではあるのですが、カグラの隣に立てないまま1巻が終わってしまうのは、少しもったいなく感じました。
無料で読める1巻は、カグラとは違う力を持つ「黒い影」との対決が始まるところまでです。暗い異能戦と、すっきり割り切れない正義。その両方を面白がれる人に向いています。
この一冊、誰かに教える
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