この一冊は、どんな漫画か
涙と食べかすを飛ばしながら、両手で肉を掴んで頬張る。生きた人間とようやく出会った太郎の、そのコマで世界にのめり込んでしまったた。
文明崩壊後を生き延びる話だと思って開いた。そうしたら、崩壊前に太郎が会社でやっていた争いと、崩壊後に土地や生存をめぐって起きる争いが、同じ形で重なってくる。国も会社も貨幣もなくなったのに、人が奪い合う理由だけは残っている。
あの肉のコマで見え方が変わった。太郎はそこまで、知識と段取りで生き延びてきた人だった。それが人に会えた瞬間、涙も食べかすも一緒に飛ばして食らいつく。頭で切り抜ける話ではなかったのだと分かる。
食べる、住む、道具を作る。太郎はそれを一つずつやり直していく。私たちが何も考えずに済ませている手順が、この漫画では全部並べて描かれる。今の暮らしが、どれだけの人の一生分を重ねて引き継がれてきたものなのか、そこまで考えることになる。
絵柄には癖がある。人物の顔つきで合わない人はいると思う。1巻は、新しく出会った仲間と旅を続けると決めて、目的地へ最初の一歩を踏み出すところで終わる。ここまでは準備で、作り直しはこれからだった。
こよいの一言
素直に褒めない編集長。眼鏡を外したときだけ本気。
人が何もないところから暮らしを建て直していくのを、最後まで見届けたい。1巻はまだ第一歩を踏み出しただけなのに、もうそこまで思っている。
選・文今宵の一冊 編集長 こよい
この一冊、誰かに教える
作品名とひとこと、リンクが入った状態で開きます。そのまま投稿しても、書き足しても。


