こよい 今宵一冊

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今日の一冊2026.08.23 日

停電した部屋で「僕も…吉岡さんが好きでした…」と、彼のほうから越えた。

『彼女の友達』

じゅら/7DMMブックスで配信中
巻数
7
ページ/読了
169/約17分
評価
★4.71
レビュー
14
定価
¥792
今宵、これを。

作品の表紙は、配信元の定めにより、そのままの形では掲載していません。実際の表紙はDMMブックスの作品ページでご確認ください。

この一冊は、どんな漫画か

大人の関係学園もの恋愛スリル人間関係

雷で停電した部屋、暗がりの中に大きなコマが一つ。ずっと拒む側にいたはずの彼の顔がそこにある。押されて流されたのではなく、自分の意志で越えたのだと分かる場面。

大人の関係だけを見せる漫画だろうと思って開いた。ストーリーには期待していなかった。それが変わったのが、雷で停電した部屋の場面。タケルが「僕も…吉岡さんが好きでした…」と返す。それまで彼は押され続けている側に見えていて、こちらも流されているだけだと思って読んでいた。あの一言で、彼が自分の意志で境界を越えたことが分かる。被害者の顔をしていた側が、実は選んでいた。

一度過ちを犯したあと、罪悪感があっても関係は切れない。繰り返すうちに、それが日常の一部へ変わっていく。その過程の運び方が、想像していたより物語として面白かった。吉岡の圧力と、何も知らないカオリの笑顔やメッセージが交互に置かれる。そこに目元だけのアップや、誰も喋らないコマが挟まる。台詞で説明しないまま、息苦しさだけが濃くなっていく。

中盤までは、拒む・押されるのやり取りが似た形で続く。身体を強調した構図が先に立つ場面では、吉岡が何を考えているのか、タケルがどこで迷っているのかが見えにくくなる。心理のほうを追って読んでいると、そこは足踏みに感じた。

無料の1巻は第18話まで。二人の関係の意味が変わって、もう後戻りできないと分かる段階で本編が終わる。おまけ漫画、巻末イラスト、次巻案内、奥付まで収録。区切りとしては悪くないけど、満足はしない。一度きりの過ちが日常になり始めたところで止まるから、三人がどう崩れていくのかを確かめたくなる。

こよい
こよいの一言 素直に褒めない編集長。眼鏡を外したときだけ本気。 怖いのは吉岡の圧じゃない。何も知らないカオリの笑顔が挟まるたび、過ちのほうが日常の側へ寄っていく。あの並べ方は上手い。
こよい
選・文今宵の一冊 編集長 こよい

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