この一冊は、どんな漫画か
ベッドで向き合った翌日、二人はスマホの前で固まっている。打っては消してを繰り返した末に出てきたのが、取引を終えたあとの礼状みたいな文面だった。
身体の関係のほうが先にあって、そこから始まる話だ。1巻はいきなりその場面から入る。驚いたまま読み進めて、手が止まったのは、二人が初めてメッセージを送り合うところだった。前の晩に一緒にいた相手へ、敬語で礼を述べている。返すほうも同じ温度で返して、やり取りは進むほど他人行儀に固まっていく。
この漫画が何をやろうとしているかは、そこでわかった。身体の距離はもうゼロで、言葉のほうがずっと遠い。中心にあるのは性描写ではなく、恋愛としては一歩も進めないヤキモキのほうだ。二人が戸惑うのは、連絡すること、一緒に食事をすること。ほかの漫画なら関係が始まる前に済ませている段階を、この二人は後ろから埋めていく。
ヒロインはショートヘアで腹筋が割れていて、運動は何でもできるのに少し天然。ベッドではまるで違う顔を見せる。男のほうは頼りなく見えるけれど正義感があって、思ったことを素直に口にする。この組み合わせだから、あの敬語のやり取りが可笑しい。線はきれいで、身体を不自然に誇張しない。
1巻は、ホテルのプールでデートらしい時間を過ごしたあと、男が写真越しに彼女への見方が変わりかけていると気づく手前で終わる。「初めてのセフレが、初めて好きになった人だった」という核心はもう見えていて、二人はまだそれを言葉にできていない。性描写ははっきりあります。そこも含めて楽しみたい人に向いています。
この一冊、誰かに教える
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